前回までは 3D CG をつくる大まかな流れを確認してきました。

今回は実際にCGのデータを作成する前に、知っておいたほうがよい、座標座標系について確認しましょう。

Blender_つかい方_はじめて_3D_CG_3

座標と座標系という言葉は、数学などで聞いたことがあるかもしれません。グラフを描くときなどにつかった ( x , y ) = ( 3 , 4 )みたいなやつです。

かんたんに言うと、座標とは位置を数字で表したもの、そして、座標系とは座標の表し方のルールみたいなかんじてす。

なので、同じ位置をあらわすのに、ある座標系と別の座標系で数字が変わってきます。

分かりやすく例をあげると、体育館のような直方体の建物があるとします。そのひとつの隅から何かを投げたと考えてください。ここではサイコロ形の物体とします。そのサイコロの位置は、サイコロを投げた隅からの3つの距離の組み合わせで表せます。

このとき、サイコロを投げた隅のことを原点、距離をはかった3つの方向のことを軸と呼びます。

そして、この隅から、こっちとこっちとこっちの方向に距離を測りましょう、という決まりのことが座標系ということになります。

座標_座標系

この図では、X軸の方向に8m、Y軸の方向に12m、Z軸の方向に5mのところにあるので、
(X,Y,Z) = (8, 12, 5)
と表せます。このように、この空間のすべての点は3つの数字の組み合わせで表せるということです。

2.グローバル座標系とローカル座標系ってなに?

座標と座標系がわかったところで、Blender のなかで使う、グローバル座標系とローカル座標系について見ていきましょう。これに関してはあまり聞いたことがない方も多いかもしれませんが、それほど難しいものではありません。
グローバル座標系とは、その名の通り"全体の"座標系で、3Dデータをつくる空間内にひとつだけです。そして、動きません。
それに対して、ローカル座標系とは"特定の場所の"座標系です。空間の中に複数あっても構いません。ローカル座標系のなかの点の座標は、グローバル座標系での座標でも表せます。
さきほどのサイコロの例でいうと、グローバル座標系というのは、部屋の隅を原点として固定された座標系、そして、ローカル座標系というのはサイコロに固定された座標系ということになります。

グローバル座標系_ローカル座標系

部屋にの隅が原点、壁に沿って軸をもつ座標系は固定されていますが、投げられたサイコロは体育館のなかを飛んでいくので、ローカル座標系はサイコロといっしょに空間内を移動していきます。回転する可能性もあります。

なんとなくイメージできたでしょうか?

3.ローカル座標系のメリット

では、なぜローカル座標系というものが必要なのでしょうか?「別にグローバル座標系だけで表現できるなら、2つも必要ないんじゃないか。」と思われる方もいると思いますが、実はローカル座標系は、とても便利なんです。

また、さっきのサイコロの例で考えます。
サイコロのひとつの角を原点として、ローカル座標系を設定します。このサイコロ形の物体は、8個の頂点が決まれば表現することができます。つまり、8個の点の座標がわかれば描くことができます。サイコロが体育館の隅から動いていない最初の状態では、グローバル座標系でもローカル座標系でも8個の座標は同じです。ただ、サイコロの位置が移動すると、グローバル座標系では、もう一度8個の点の位置を測りなおして座標で表す必要があります。でも、ローカル座標系で考えると、「座標系の原点がどれだけ移動したか」と、「座標系がどれだけ回転したか」を考えるだけで、サイコロが今どこにどのような傾きでいるかを表すことができます。

ローカル座標系のメリット

サイコロみたいな簡単な形状だと、あまりメリットがないように感じますが、実際にはもっと複雑な形を表すことがほとんどですよね。そうなるとこの考え方はとても大事になります。


次回からは、Blenderの操作について詳しく見ていきます。