毎年この時期になると憂鬱になるのが確定申告です。普通に給与所得だけなら特に申請することのない手続きですが、医療費控除や投資で利益が出た場合、ふるさと納税など寄付をした場合には忘れずに申告する必要があります。
毎年必要なのですが年に1度しかないことなので、「毎年手順を忘れてしまって困る」という人も多いのではないでしょうか。今年もe-Taxをつかって、しっかり申告しましょう。
確定申告_e-Tax_2021年
FirmbeeによるPixabayからの画像

Contents

  1. まずは事前準備
  2. 申告書を作成してみよう
  3. 確定申告の注意点
  4. e-Taxでの確定申告の注意点と変更点

1.まずは事前準備

申告書の作成を始める前にまず次のような必要な書類を集めます。
  • 今年支払った医療費の領収書、あるいは保険者から送られた医療費のお知らせ
  • 今年の投資の年間取引報告書
  • ふるさと納税の受領証明書 など...

医療費控除の場合は、その年の医療費をすべて医療費集計フォームにまとめます。医療費の集計の方法はこちらの記事をご覧ください。



毎年、領収書から医療費をまとめるのが大変なので、今年は4か月ごとに保険団体から送られてくる「医療費のお知らせ」をきちんと保管しておきました。でも、知りませんでしたが、歯科矯正は「医療費のお知らせ」に記載されないようです。結局、いつも通り領収書からひとつづつフォームに入力しました。

投資で利益が出た場合の年間取引報告書は、各証券会社のホームページなどからダウンロードできるはずですので、あらかじめダウンロードして準備しておきます。

ふるさと納税については「ワンストップ特例制度」が利用できます。これは自分で面倒な手続きをしなくても税金の控除が受けられるという非常にありがたい制度です。でも、投資で利益が出た場合や医療費の控除を申請する場合(1年間に支払った医療費が10万円をこえる場合)は、ワンストップ特例制度に申請していても、自分でふるさと納税分もふくめて確定申告する必要があります。これを知らずに投資の利益分や医療費控除分のみ確定申告してしまうと、ふるさと納税分が控除されず支払う税額が減らないので注意が必要です。

2. 申告書を作成してみよう

これらがそろったらe-Taxのホームページから申告書を作成します。ここでは前年のデータを利用して作成します。初めて作成するときはこちらの記事をご確認ください。



  1. はじめて申告書を作成する場合は「作成開始」を選択します。ぼくの場合は前年の申告書のデータがあるので「保存データを利用して作成」を選択します。

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  2. まずは過去のデータを読み込みます。

    1. 過去のデータを利用して新しい申告書の作成を始める場合は「新規作成」をクリックします。
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    2. 次に税務署への提出方法を選択します。e-Taxを利用する場合は「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」が選択できます。そのほかには「印刷して提出」を選択することができます。「マイナンバーカード方式」を選択した場合は、マイナンバーカードと対応したICカードリーダーが必要になります。

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    3. 事前セットアップが必要な場合には「事前セットアップファイルのダウンロード」をクリックしてファイルをダウンロードして実行します。そして、画面表示に従い操作すると簡単にインストールできます。

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    4. マイナンバーカードによる認証を行います。ICカードリーダーをPCに接続し、マイナンバーカードを挿入して「マイナンバーカードの読み取り」をクリックします。

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    5. 表示された画面で、マイナンバーカード受け取り時に申請した4桁の数字の利用者証明書用電子証明書パスワードを入力し、「OK」をクリックします。

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    6. 「住所等検索が完了しました」と表示されるので「OK」をクリックします。

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    7. 過去に申告したデータから氏名や生年月日、住所等の登録情報が表示されるので変更がなければいちばん下の「申告書等を作成する」をクリックします。変更がある際は「訂正・変更」をクリックします。


    8. 「作成する申告書等の選択」画面が表示されるので、昨年分の医療費控除、寄付金控除、投資損益なので、「令和2年分の申告書等の作成」のなかの「所得税」をクリックします。

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    9. 読み込む過去のデータファイルを指定して、「保存データ読込」をクリックします。

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    10. 読込内容の確認画面が表示されるので確認して読み込みは完了です。「次へ」をクリックします。


  3. マイナポータルとの連携を選択します。マイナンバーカードでマイナポータルにログインすれば、利用者識別番号と暗証番号を入力しなくてもe-Taxにログインでき、メッセージボックスの情報を確認、納税証明書、源泉所得税、法定調書などに関する手続きを利用することができます。

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  4. 「読込項目の選択」画面が表示されます。過去データより全て変更がないのですべてチェックして、作成する確定申告書の提出方法として「e-Taxにより税務署に提出する。」を選択し、「上記項目の読込」をクリックします。

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  5. 申告書の作成をはじめる前にいくつか質問事項があります。あてはまる項目を選択して「次へ進む」をクリックします。

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  6. 昨年入力した項目は赤色で表示されているので、「読込内容を確認」をクリックして内容を今年のものに修正していきます。

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  7. まずは給与所得の欄を職場などからもらった源泉徴収票を見ながら入力していきます。

    1. 「源泉徴収票の入力」画面から「書面で交付された年末調整済みの源泉徴収票の入力」の欄に会社の名前と住所が記載されているので「編集」をクリックして内容を編集していきます。

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    2. 「給与所得の入力」画面から項目をひとつづつ入力していきます。

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    3. 「配偶者控除」と「扶養控除」を前年と異なっていれば訂正し、異なっていなければそのままで「次へ進む」をクリックする


  8. つぎにFXの投資損益を入力します。

    1. FXの海外業者の収支は総合課税となり雑所得となるので「雑所得」の「業務」「その他」の欄から「読込内容を確認」をクリックします。


    2. 引き継いだ過去のデータが表示されるので、業者など変更していなければ金額のみ入力し、「次へ進む」をクリックします。

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    3. 国内FX業者の収支は分離課税となるので「先物取引に係る雑所得等」の「読込内容を確認」をクリックします。


    4. 取引の内容の種類を「外国為替証拠金取引」、決済の方法には「差金決済」と記入します。決済年月日や数量は取引が複数回ある場合は記入不要です。差金等決済に係る利益または損失の額の欄に損益計算書に記載された額を記入します。損失には「-(マイナス)」をつけて入力します。

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  9. つぎに、医療費控除を入力します。

    1. 「所得控除の入力」ページには「社会保険料控除」、「生命保険料控除」、「配偶者控除」、「基礎控除」等、源泉徴収票に記載された控除がすでに表示されています。医療費については「医療費控除」の欄の「入力する」をクリックします。


    2. 「医療費控除の入力」画面から「医療費控除を適用する」をクリックします。

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    3. 「入力方法の選択」画面で「医療費集計フォームを読み込んで、明細書を作成する」を選択し先に作成した保存した医療費集計フォームを読み込みます。

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    4. 読み込んだ集計フォームをもとに「医療費集計フォーム読込結果」が自動的に表示されます。確認して間違いなければ「次へ進む」をクリック

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    5. 入力した医療費が表示され「次へ進む」をクリックすると還付される金額が計算されこれで入力は終了です。


  10. つぎに、ふるさと納税分について記入します。

    1. ふるさと納税分は寄付金控除にあたるので「入力する」をクリックします。

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    2. ふるさと納税の受領証明書を書面で受け取っている場合は「書面で交付された証明書等の入力」の「入力する」をクリックします。

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    3. 証明書に記載された寄付年月日を記入し、寄付金の種類を「都道府県、市町村に対する寄付金(ふるさと納税など)」を選択します。寄付をした都道府県、市町村を選択すると1番下の「寄付先の所在地」と「寄付先の名称」が自動的に入力されます。そして、寄付金の金額を入力すれば終了です。複数の自治体に寄付した場合は「別の寄付先を入力する」をクリックして同じ作業を繰り返し、すべて入力し終わったら「入力終了」をクリックします。

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    4. 入力内容が表示されるので、間違いがなければ「次へ進む」をクリックします。


  11. つぎのページの「税額控除・その他項目の入力」についてはぼくは該当がないので未記入ですすみます。

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  12. 計算結果が表示されるので確認して「次へ」をクリックします。


  13. 「住民税等の入力」画面で「住民税・事業税に関する事項」をクリックします。

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  14. 「給与・公的年金等以外の所得がある方の入力項目」で住民税の徴収方法を、きちんと"自分で納付"にチェックしましょう。会社にバレないように。

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  15. 還付額と受取方法の選択が表示されます。ここも過去のデータが反映されていますので、確認して変更なければ「次へ進む」をクリックします。


  16. 「マイナンバーの入力」画面が表示されます。ここもデータが引継がれていますので「次へ進む」をクリックします。


  17. もう一度マイナンバーカードを読み取ります。署名用電子証明書パスワードを入力します。暗証番号 「送信する」をクリック


  18. 「受付結果」が表示されます。「送信票等印刷へ進む」をクリックして帳票をpdfファイルで出力して保存しておきます。


  19. 来年用に「入力データを保存する」をクリックして保存します。

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  20. 「終了する」をクリックして終了です。


以上で終了です。お疲れ様でした。

3. 作成を途中で中断した場合の再開方法

ちなみに途中で中断した場合に保存したデータから作成を再開する場合ですが
  1. 「保存データ利用方法の選択」画面から「作成再開」をクリックします。

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  2. 中断したときに保存したファイルを選択して「保存データ読込」をクリックします。

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  3. 所得税の確定申告書の「作成再開」をクリックします。

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4. e-Taxでの確定申告の注意点と変更点

確定申告した際の注意点は2点です。
  • 毎年のことですが、住民税の徴収方法を「自分で納付」を選択しましょう。
  • 住民税に反映されるのは6月からなのできちんと控除されているか確認しましょう。
また、これまでとの変更点は次の2点です。
  • 申告書の作成の前に質問事項が追加されました。
  • これまで申請可能なブラウザは Internet Explorer か Microsoft Edge でしたが Google Chrome にも対応していました。